マウスピース型矯正装置での全顎矯正治療症例

矯正治療前

矯正治療後

ご来院の経緯

患者さんが当院の矯正相談にいらっしゃった経緯としては、
・上の歯・口元が後戻りで出てきたのが気になる

とのことで、当院での再度矯正治療をご希望で来院されました。
※後戻り・・・矯正治療で一度きれいに並べた歯が元の状態に戻ってしまうこと

診断結果

・上顎前突（上あごが通常より前にでている状態）
・叢生（歯並びが凸凹している状態）
・口呼吸・いびきがある
・異常嚥下癖がある（飲み込み方が正常ではない状態）
・くいしばりがある

治療計画

・マウスピース型矯正装置を使用する
・適切なタイミングでマウスピース型矯正装置と顎間ゴムを併用する
・適切なタイミングでIPR(歯冠縮小)を行う
・上顎左右4番目の歯(第一小臼歯)を矯正治療開始時に抜歯する
・上顎左右8番目の歯(親知らず)を矯正治療途中でタイミングを見て抜歯する
・下顎左右7番目(第二大臼歯)と8番目の歯を経過を見て、必要になったら抜歯する(下顎左右8番目の歯は抜歯が望ましい状態でしたが、抜歯するには高リスクな状態だったため、患者様の希望もあり様子見となりました)

※マウスピース型矯正装置・・・患者様ごとのカスタムのマウスピースを複数枚作成して、それを1週間～2週間おきに交換しながら装着することで、歯を徐々に計画通りの位置に矯正する装置のこと
※顎間ゴム・・・装置や歯に、ゴムを引っかける場所を一時的に作成し、任意の場所に歯が動くように引っ張る力を加えるゴムのこと
※IPR・・・歯と歯の間をヤスリがけするように研磨し歯が動く隙間を作成すること
※牽引・・・任意の場所に歯が動くように引っ張る力を加えること

治療の流れ

①矯正治療の説明・装置の説明
当院では、まずはどのような治療を行うか、使用する装置について詳しくご説明し、同意をいただいております。当患者様も同様に説明を行いました。
ご契約後に治療費を入金いただきまして、装置の作成に進みます。

②装置セット
装置を実際に口の中に入れ、適合や痛みの有無を確認します。適合良好だったため、治療がスタートしました。
最初の段階では、マウスピース1枚目を2週間使用し、2枚目も2週間使用し、約4週間～1か月後に次回の予約をとなりました。
次回の予約までに、歯の移動するスペースを確保するための上顎左右4番目の歯の抜歯を実施しました。(当院は矯正専門のため他院紹介)

③装置の適合チェック・歯の状態をチェック
経過良好だったため、歯にアタッチメントと呼ばれる補助的な突起物を接着しました。これはより正確な歯の移動や歯のフィットの向上を可能とするもので、歯の色と同じため外からはほとんど目立ちません。患者様自身も接着直後は違和感がありましたが、すぐに気にならなくなりました。
また、使用時間も問題なかったため、この日からマウスピースは10日間で交換して使用していくことになりました。
※最低使用推奨時間・・・1日20時間以上。
▲アタッチメントの接着の計画シミュレーションになります。実際は白色の突起物です。

④約2か月に1度の経過診察
その後、順調に枚数を進め経過も見ていきましたが、24枚目あたりのマウスピースから、少し左下7番目の歯に適合しにくくなってきました。
マウスピースをつけているときに、チューイーと呼ばれる弾力のあるゴムを患者様自身で噛むことでマウスピースの適合力を高めてくれるため、左下7番目の歯の部分はより積極的に行い様子を見ることになりました。
また、この日より、より歯が動きやすいように、顎間ゴムの使用を開始しました。上の前歯が後ろに動く力を加える目的で、ハの字のようにゴムをかけることになりました。

▲ゴムをかける位置は、担当医が口の状態を踏まえて計画を立て設計しています。

⑤途中経過に合わせた新しいマウスピースの作成
53枚目のマウスピースあたりで新しいマウスピースを作成しました。この過程は通常で、定期的にその時の歯の状態に合わせて資料を取り直し、より歯が動きやすいように設計を加えたマウスピースを作成するというものです。
この日に、患者様が数か月後に海外へ数年移住することが決まり、通院頻度が減っても遠隔で医院で治療経過が見られるように、専用の端末(デンタルモニタリング)とアプリを患者様にご説明の上、使用していただくことになりました。

⑥新しいマウスピースのセット
新しいマウスピースに合わせたアタッチメントを接着し、加えて歯が移動するための隙間が足りない箇所に、IPRを行いました。
また、上顎左右8番目の歯の抜歯を実施しました。(他院紹介)

⑦約2か月に1度の経過診察
その後、順調に枚数を進め経過も見ていきました。経過良好のため、16枚目のマウスピースからは、7日間で交換して使用することになりました。

⑧最終確認・治療終了準備
海外から日本に帰国しているタイミングで、直接の経過確認を行いながら、定期的に患者様の気になるところのヒアリングを行いました。
約2年半で治療完了となり、アタッチメントや顎間ゴム用の突起物などを除去し、保定装置の作成になりました。

⑨保定装置使用・経過観察
現在は保定装置を使用しながら経過を見ています。
矯正治療は治療が終わってからが大事、といっても過言ではありません。
特に当患者様は過去に矯正治療をした後、後戻りの経験があるため、より注意して経過を見ていくことが大切です。

矯正治療をご検討中の皆様へ

当院では、初めての矯正治療をご検討中の方も、一度矯正治療をご経験で現在お悩みがある方も、矯正相談をいつでも受けることができます。
ぜひ、少しでも気になることがある方は、お気軽にお問い合わせください🦷✨